国境を越えて民主主義を学ぶフォルケホイスコーレ、Krogerup Hojskole訪問レポ

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ローカルな旅と南デンマークを愛する北欧ツアーコーディネーター。毎日をちょっと特別に。

デンマークのクローロップホイスコーレ(Krogerup Højskole)を1泊2日で訪問してきました!

クローロップホイスコーレ

首都コペンハーゲンから電車で30分という好立地にありながら、自然に囲まれた中で学習できる環境。

ここではジャーナリズムや映画製作など、ほとんどの長期コースがデンマーク語で行われるのですが、Crossing Bordersというコースだけは留学生向けなので英語です。

今回は知人が学ぶCrossing Bordersコースに潜入してきました!

フォルケホイスコーレについては過去記事に詳しく書いてますので参考に。

学校の風景

ここの生徒はデンマーク人が圧倒的に多く、年齢層は大体18~30歳くらいでした。
若い生徒が多いです。

難民問題などの政治的なテーマに関心のある生徒が集まり、フォルケホイスコーレの中でもアカデミックな授業が多いのが特徴とのこと。

日本人の生徒にも何人か会いましたが、みんな政治や教育に対してしっかりとした考えをもっている方ばかりでした。

窓からみたらこんな光景が。

授業風景

庭で国際政治についての授業が行われています。
このカジュアルに真剣なことを話し合える感じ、いいなぁ。

ホイスコーレの食堂

食堂。ここで生徒たちは3食をともにします。
天気がいいので外で食べたりもしてました。

24時間空いてる図書館も素敵です。

図書館

古い本が多いですが、落ち着いた空間。
PCも自由に使えるのでここで課題をやる人も多く見かけました。

さいごに毎朝のMorning assemblyです。

たまたま夏のコースの最終週に行ったので、コースはもうすぐ終わりだけどここで得た人脈はずっと続いていくよといった話が先生からあり、その場にいた全員が抱き合ってました。

2日間の授業にも参加させてもらえたので、その中で面白いと思ったものをピックアップします。

「民主主義は妥協である」

民主主義は妥協

みんな授業では自分の学びの集大成としてプレゼンテーションを用意していました。
とくに難民や民主主義などをテーマにする人が多かったです。

特に興味深かったのが、発表のなかで”Democracy is Compromise.(民主主義は妥協である)”という言葉が出てきたこと。

多数派の意見も少数派の意見も尊重されて、折衷案を出すということがここでは当たり前に根付いています。

歩み寄るといったほうが正しいかもしれませんね。

こんな例があります。

ある生徒がこの学校のトイレを男女で共有にしよう!と言って勝手にトイレに共有という張り紙をはってしまいました。それが他の生徒の目に触れて勝手にやるのはおかしいと全体での話し合いに発展します。

話し合いの結果、学校のトイレは半分が共有、半分が男女別になりました。

男女共用トイレ

デンマーク教育の縮図のような答えだな……。

あくまで平等に。ひとりの意見を大勢で押しつぶすのではなく、くみ取った上でお互いが納得できる形に落とし込んでいく。

それがクローロップホイスコーレの民主主義だと私は感じました。

そういえば私が留学していた高校も、トイレは男女共有でした。
大きな扉があって、中に個室があるだけのシンプルなスタイル。

共有にしたいと言い出した生徒は、当たり前のようにわける必要がない環境にいたのかもしれないなぁ。

そう思うと、対話して新たな価値観に気付くことは改めて大事ですね。

難民は敵なのか?

難民は敵なのか

授業の中でハッとさせられたことがありました。

ある生徒のプレゼン中の“Arab Countries – Friends or Enemies?(アラブ諸国 は敵か味方か)”という問いかけです。

デンマークは移民難民を受け入れていますが、その数は例年に比べて減っています。

政治的にも右傾化していますし、連日のテロで難民への体制も厳しくなりました。

私がドイツからバスでデンマークに向かったときも、国境で検問が入りパスポートとビザを見せるように言われました。不法入国を防ぐためですね。とくに中東系やアフリカ系とみられる人たちは執拗にチェックされていました。しかも威圧的に。これ、毎回だったらキツイなぁ。

授業の中で、他の生徒はデンマークに難民として来た人たちにインタビューをして、一番幸せな瞬間将来の夢を聞いてビデオにまとめていました。

メディアではうつされない、ひとりひとりの生の声です。

「一番幸せなのは、家族で一緒に過ごせること。」

ある男性の答えに、なんて平凡で幸せな夢を持っているんだろうと思いました。

それと同時に無意識のうちに彼らは自分たちとは違う人間かのように感じていたことに気づきます。
「難民」としての彼らにどんな答えを期待していたんだろう?

結局、思想や境遇が違うだけの人間なんですよね。

自分もここじゃ外国人なのに何を考えていたんでしょう。

平和のための教育

ガルバ・ディアロ

Crossing Bordersコースを担当するのはガルバ・ディアロ先生です。

7年前からここで留学生のための授業をしているほか、自身で立ち上げたCrossing Bordersという団体でさまざまなボランティアや対話の場づくりをしています。

なんでクローロップホイスコーレの教師になったの?と聞いてみたところ「人と人のつながりをつくるためだよ」と返ってきました。

たしかにここでは日本人をはじめガーナ人、オーストラリア人、ウクライナ人、韓国人など国も文化も異なる人たちが集まって、共に世界の問題について真剣に学んでいました。

彼も自身の活動の中で世界中の人とつながり、対話して、相互理解をうながしています。
国境という垣根をこえて理解しあうことが世界平和に近づく一歩になると。

そのひとつの方法が学校での教育だったのでしょう。

クローロップホイスコーレは国際的なコースもありながら、基本的にはデンマーク人の生徒が多いローカル色が強い学校です。

立地もいいし、デンマーク人とたくさん交流したいという人にもいいでしょうね。

政治・民主主義・難民・メディアなどのキーワードに興味のある人は要チェックです!

ではまた~