迷える大人には、デンマークの成人学校フォルケホイスコーレがおすすめな理由

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北欧ツアーコーディネーター。冒険とデンマークが大好きな92年生まれ

大人になってから、漠然と「これからの人生どうしよう」と考えることがある。

誰でも自由に自分の道を選びたいし、好きなことをして生きていけたらもちろん最高だ。

では、こういう場合は一体どうしたらいいのだろうか。

・やりたいことがない
・好きなことが仕事になるかわからない
・自分の将来に漠然とした不安がある
・年齢だけを重ねてあせっている

人生の岐路に迷う時、ひとつの選択肢としていったん立ち止まることが挙げられます。

私は、大学2年生の時に悩みすぎてどうにもならなかったので、休学して海外留学をすることにしました。デンマークという小さな国の、フォルケホイスコーレという学校へ。

今回は、人生に悩んだ時のためのギャップイヤー案として、自分の体験をまじえながらフォルケホイスコーレの紹介をしていきます!

フォルケホイスコーレとは

フォルケホイスコーレは、民衆の民衆による民衆のための成人教育機関デンマークニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィが理念的なものを提案し、デンマークの民主主義普及に大きく貢献した功績がある。

(中略)単位や学位は取れないが、自由な雰囲気の中で自然を謳歌しつつ学べる全寮制の学校である。

出典:Wikipedia 『フォルケホイスコーレ』

簡単にいうと、18歳半以上なら国籍・年齢・学歴問わず誰でも入れる全寮制の学校です。通称ホイスコーレ。

デンマークに約70校、北欧全域だと300校以上もあり、その特色も学校によって違います。たとえば映画制作、福祉、演劇など。

私が大学時代に留学したのはIPC(International People’s Collage)という多国籍がウリの学校でした。

期間は1か月~1年間とさまざまで、学費は政府の援助を受けているため基本的に安いです。全寮制の学校なので、生活費や食費も含まれますしね。

授業は大学のように選択式で、アカデミックなことも学べます。ただし、基本的に試験や単位などはありません。

謎じゃないですか?私もどうやって勉強のモチベーションたもつのか疑問でした。はっきり言って、そこで勉強するかどうかは完全に自分次第。サボる人はサボります。

なぜならホイスコーレは、机上の教育をすることだけが目的ではないからです。

その学びの本質は、普段の生活のなかの「対話と共生」にあります。

さまざまな国から、異なる背景をもった人たちが共に暮らし、共に学ぶ環境。
そして、夜はデンマークらしくロウソクの灯る食堂や談話室で対話しながら、お互い理解を深めていきます。

それぞれが自分を見つめ直し、「学ぶこと」とは何かを見出し、そして自分とは違う他人と「共に生きる」ことを根本から考える場所(ポエミーになりすぎた)

フォルケホイスコーレは生のための学校」と創始者のグルントヴィは定義しました。

それは、今でも世界一幸せなデンマークの教育の基礎となっています。

フォルケホイスコーレに行く4つのメリット

ここからは、具体的にホイスコーレをおすすめする理由について書いていきましょう!

入学のハードルの低さ。誰でも数ヶ月デンマークで暮らせる

デンマークってなんとなく遠い感じがしませんか。欧州の中でもフランスやドイツなどに比べて日本人は少ないですし、日本語での情報もまだまだ多くはありません。

でも教育のレベルは高いし、福祉国家だし、国民の幸福度も高い国… と聞くとなんとなく気になりますよね。

ホイスコーレ留学は、デンマークに短期で住んでみるとっても簡単な手段です。

私は大学2年次に半年間休学して、デンマークのホイスコーレに留学しています。

今だから言いますが、この留学の動機はもう日本やだ逃げたいでした。デンマークの教育システムに興味があったとかではないです。

ホイスコーレに入学するための立派な理由は、いりません。なんでもいいですよ、希望すれば誰でも入学できるから!

ちなみに私はこんな感じでした↓

Kimika
あーしんどい。日本しがらみが多すぎるわ。ヨーロッパ帰りたい
ホストママ
デンマークにはフォルケホイスコーレっていう学校があってね……(回想)
Kimika
フォルケホイスコーレ?あぁたしか資格ナシで行ける学校あったね
Kimika
あっ……もしかして「留学」なら体よく逃げられるんじゃね?
Kimika
学校見つけたわ。早速応募するわ(ポチー)

今考えると本当謎の行動力ですが、当時は精神的に追い詰められていたので必死でした。

アプリケーションには自分の情報と簡単な英文エッセイを書いて、しばらくすると学校から受け入れOKの返事がきます。

また馴染みのあるデンマークで暮らせる!と心躍ったのでした。

にしてもこの入学ハードルの低さよ。

ホイスコーレは、昔デンマークで「教育を受けられなかった下層の農民などに教育をつけさせる場所」としての役割があったので、誰にでもオープンなのか……?

正直、「誰でも入れる」といわれるとレベルが低そうで不安ですよね。そうです、意識の高い人から低い人までピンキリです。

個人としては、入学の動機は不純でもなんでもいいし、この機会をうまく利用すればいいと思っています。

自分の納得する結果になるなら、始まりは何でもいいのではないでしょうか。

自分を見つめ直す機会が絶対にある

まずホイスコーレに到着して、学校にいたみんなから歓迎を受けました。
翌日授業を組み始めて気づいたこと。

めちゃくちゃ自由時間がある。

曜日にもよりますが、基本的に15時以降は授業がなく自由でした。週末はもちろん休み。

ここでのポイントは2つです。

・圧倒的な時間の余裕
・他人と話すことで己を知る

まず時間に余裕があるということは、当たり前ですがそれだけ自分のやりたいことができる時間が増えるってことです。

友達と語り合ってもいいし、映画見てもいいし、勉強しててもいい。つまり何でもアリ。

私の場合はとにかく毎日余裕がなかったので、自分が今抱えていることをひとつひとつ整理していきました。

日本みたいに色んなことが起こらない、人も少ない、忙しくない。そんなデンマークの静かな環境で頭をからっぽにし、今の自分に大事だと思う価値観を見つけます。

これは余裕がないとできませんでした。

そして、もうひとつ。世界中からホイスコーレに学びにくる生徒と共同生活できるのもいい経験です。

生徒と言っても年齢の幅は広く、下は18歳で上は40代後半くらいです。

海外に行って自分の国のことを知るように、自分とはまったく違う人に接することが、結果的に自分を見つめ直すことになりました。

それぞれが人種も言語も価値観も違う中で共同生活するので、嫌でも自分が何者かを自覚させられます。

日本人としての私。
大学生としての私。
女性としての私。

プライドが高くて、人見知りな私。

好きだなぁと思うこと、逆に受け入れられないこと。自分が目指している姿や、どんな生活をしたいのかわかっていきます。

「自分探しの旅」とはよく言いますが、自分にとって心地いいものに身をゆだねていけば、自然と見つかるんじゃないかなあ。

みんな何かしら思うところがあってわざわざデンマークまで来ているので、それまでに悩むのは当たり前だと思っています。

自由時間にはそれぞれの人生観やポリシーを真剣に対話できるので、結構楽しかった思い出があります。

さまざまな人たちと暮らす中で、自分を見つめ直す。求めていることがわかれば、あとはそれを目指すだけじゃないでしょうか。

「やりたいことはすぐやれる」から可能性が広がる

才能は、いくら学んでもアウトプットする機会がないと開花しません。

やりたいことはあるのに、なんとなく躊躇してきたことありませんか。

ホイスコーレは、何かやりたいと思ったらすぐに実行できる環境でした。小さなことから大きなプロジェクトまで、周囲の人が協力的なおかげなんですよね。

たとえば学校付近の観光マップを作りたい、合唱クラスでこの曲を歌いたい、ディスカッションクラスであるテーマを扱いたい等々。

学校の地下の空きスペースにみんながくつろげるような部屋を作りたい、といえば準備のための機材は提供してくれるし、経済的にも協力してることがあります。

先生も周りも好きなことやりたいので、小さな達成感がたくさんうまれて自信がつきます。

ホイスコーレの先生たち、只者じゃない説

やりたいことを言えば先生は検討するし、ちゃんと応えてくれます。あとは自分たちの力で実行にうつすだけ。

なぜこんなことができるんでしょうか。

ホイスコーレの先生たちもまた、「ただの学校の教師」じゃないからです。

先生たちは、基本的にはそれぞれの分野の専門家です。

たとえばジャーナリズムを教える先生は、現役バリバリのジャーナリストだったり。

実は、ホイスコーレの先生になるのに教員免許はいりません。

先生が必ずしも教育のバックグラウンドを持っているとは限りませんので、教え方全然うまくねぇ!!!ってこともありました。

彼らは、先生というよりは、ただただ自分の専門分野に熱心で、時には人脈を使いながら柔軟に対応してくれる人たちなんです。

やりたいと思ったことを協力を得ながらできるのは、とても心強くないですか。

まずやってみないと本当に好きかなんてわからない

「自己分析ばかりするよりも、まずは実際にやってみないと」これは私の大学の心理学の先生の言葉です。

私が今までやりたかったけど諦めてきたこと、それは歌でした。

ずっと好きだし小さい頃から続けてきたのに、人前で歌うことすら恥ずかしい。

本当に自分の特技のひとつだと思っていたから、それで挫折するのが怖かったのかもしれませんね。

そんな時、あるイベントがありました。
私の通っていたホイスコーレのパフォーマンスナイトです。

今までの授業の中で音楽や絵、ポエム、陶器などのアートに取り組んできた生徒たちが、作り上げた集大成を発表するイベントです。
地元の人や生徒の家族も見に来ます。

自分たちでバンドを組んだりしてもOK!なんでもありですね。

正直に言うと、私の時代キタと思いました。自分のもてるすべてを出そう、とも。

合唱、創作ダンス、ドラマ演技、アフリカンダンス、デュエット。その日だけは生徒の中で一番多く動いていたかもしれません。

我ながらよく頑張ったよ……。

すべて良かったのですが、何より校長先生とのデュエットが最高だったので自慢します。

私が行っていたホイスコーレの校長先生は元役者です。

デンマーク語吹き替え版ディズニーの、アラジンの声の人でした。

彼はいつも忙しいのですが、パフォーマンスナイトが近くなった時に彼のところへ行き、ダメ元でお誘いしてみました。

Kimika
もしよかったら、一緒にWhole New World歌わない……?
校長
HAHAHA!そんなこと生徒から言われたのはじめてだよ!やろう!

まさかのOK!(笑)

時間をつくって一緒に練習して、ようやくデュエットすることができたんです。

はじめての舞台で、まさかデンマーク版の本家アラジン一緒に歌えるなんて……

誇張じゃなく、声が震えました。

この行事を通して気が付いたのが、自分は歌うことがやっぱり好き。だけど歌手になるほどじゃないから、趣味で楽しくやりたい。

仕事もそうですが、実際にやってみるまで向き不向きはわかりません。行動にうつしてみて、初めて適性がわかるんですね。

自分のやってみたいことをすぐに実行して、とにかくたくさんトライ&エラーをしておいてよかった。

何度でも立ち止まれるってことがわかる

ホイスコーレで何を勉強するの?

留学後は大丈夫なの?

そう質問する気持ちはわかります。

大学生なら正規の大学留学じゃないから休学をすることになるし、社会人なら履歴書にかけるか微妙なところだし。正直リスクがありますよね。

ただ、人生ってそんなにスムーズにいかなきゃだめですか。

高校卒業後はすぐ大学に入って、4年間やってすぐストレート就職コースが正解ですか。

自分の行き先に悩んで、やりたいことがわからなくなって路頭に迷うこともあるんじゃないですか。

そんな中「一旦立ち止まる期間」があってもいいのではないかと思うのです。

教育先進国と呼ばれるデンマークには、中学と高校の間に1年間のギャップイヤー、そして高校と大学の間にまたギャップイヤーを取れる機会があります。

ホイスコーレは、18歳以上なら何歳になっても学び直すことができる場所です。

なんならシニア用の学校もありますからね。色んな経験をしてきて、今は学びたいと思ったからここにいる。生涯を通してずっと学んでいく姿勢、とても素敵ではないですか。

前述の通り、私の学校の年齢層は18歳~40代後半までと幅広かったです。

中にはデンマークに移住するための第一歩!として意識高く入学してきた人もいるので、自分のように立ち止まるために来てるとは一概に言えませんが。

ちなみに、日本で就活した時にデンマーク留学の話をすると、珍しいためか興味をもってもらえることが多かったです。

思わぬところで私の個性・強みになりました。

まずは、自分がやりたいことを試行錯誤しながらやるのが最優先。

失敗したらいつでも戻ってこられる場所があるから。それがフォルケホイスコーレです。

この考えと安心感が、私がデンマーク留学で得たものなんだと思います。

留学時の注意点:環境に期待しすぎず、頼りすぎないこと

さて、ここまでずっとホイスコーレはいいところだよ!ということを語ってきましたが、一応注意点も書いておきたいと思います。

ホイスコーレに留学したい人にありがちなのは、あまりにも学校のシステムや環境に期待しすぎること。

誰でも入学できるというシステムがあるせいか、生徒はみんながみんな意識が高いというわけではありません。よくも悪くもその学校で何か学べるかは自分次第ということです。

授業でも日常的にも、積極的に学んでバンバン吸収していく人もいる一方で、ほとんど英語も話せないまま終わる人もいます。

留学に行ったからといって英語がペラペラになるとは限りませんよね。日本人同士でつるむことができる環境ならなおさら。

まず、英語(と少しのデンマーク語)を事前に勉強していくことをオススメします。

海外に行ったら結果を出すことがすべて。残酷かもしれませんが、授業についていけるくらいの英語力は最低限必要でしょう。

ホイスコーレにただ行ったから何か変わるわけではなく、自分が行動したから変わるんです。だから、何か見つけたいなら行く+挑戦する」がワンセットですからね!

留学先を見つける方法

フォルケホイスコーレに興味がある方向けに、いくつか学校選びに役立つサイトを載せておきます。

入学の方法は学校によるので、それぞれの学校のサイトで確認してみてくださいね。

IFAS
http://www.ifas-japan.com/(日本語)

デンマークのホイスコーレが見つかるサイト。情報量が多いです。

コースや学校の種類別で探せるほか、おすすめの学校など全体的に見やすいです。

ビネバル出版/北欧留学センター
http://www.bindeballe.com/(日本語)

今年の秋にフォルケホイスコーレ体験ツアーがあるようです。

デンマークの おすすめフォルケホイスコーレ 18 校
http://www.folkehojskole.jp/skoler/osusume18.pdf(日本語)

上のビネバル出版さんが提供してくれている学校情報。まだあまり知識がなかったときに、めちゃくちゃ重宝しました。

情報は2009年のものなので、現在は少し変わっている可能性があります。

Hoejskolerne
http://danishfolkhighschools.com/(英語)

デンマーク内のホイスコーレ一覧が見られます。

本家デンマークのサイトだけあって、載っている学校の数はダントツ。

上のメニューの”Schools”でジャンルごとに学校を探すか、トップページを下にスクロールして地図から探してみましょう。

Folkhoegskola.nu
https://www.folkhogskola.nu/Otherlanguages/(英語)

スウェーデンのホイスコーレが探せるサイトです。

まだまだ日本語での情報が少ないフォルケホイスコーレですが、北欧デンマークで少し人と違った体験をしてみたいなら、ぜひ探してみてくださいね。

ではまた~